日本の就活制度や企業文化って、外国で働きたい人にとって不利かもしれない

日本の就活制度や企業文化って、外国で働きたい人にとって不利かもしれない

前回の日記(慶応ボーイがワークビザを取れず、高卒の彼が永住権を取れた理由)を書きながら思ったんですけど、日本の就活の制度、というかシステムというか文化というか分かんないんですけど…、とにかく日本の典型的な就活の制度や、その後の会社での働き方って、海外に出たい若者に優しくないかもしれませんね。

 

とりあえず大学に行く日本人

以前何かの本で読んだのですが、日本では1学年の40%が四年制大学に進むそうです。だいたいクラスの半分弱くらいですね。私もそうだったんですけど、大学に行く理由って、「周りのみんなが行くから」っていう人も多いと思います。 受験をする時、何を勉強したいか17~18歳の時点ではっきりとわかってる子って、そんなに多くないんじゃないでしょうか? 

なんとなく入れそうな大学の、入れそうな学部に入ってしまうという人も少なくないと思います。 というか私がそうでした☆ 当時の教師に「ここなら推薦で入れるぞ」って言われて、適当に家から近い大学にそのまま決めちゃいました。 

これってどうしてかというと、「大学に行くのは就職するためだけど、別に何を勉強するかは就職時にそこまで重要じゃないから」なんですよね。

 

大学と関係ない職に就く日本人

仕事に直結しそうな理系の学部とかだと、就職先でも勉強した内容に関連する業務をするケースが多そうですけど、文系学部の場合だと、就職・入社後まで自分がどんな業務をするのか分からないというのもよく聞きます。私自身も、理系学部でしたけど就職に直結する系の学部でなかったので、入社するまで自分がその会社で何をするのか知りませんでした。

 

前回のAさんは大学では社会学をやって、商社に入社後は営業の仕事をしていましたね☆

 

ニュージーランドのビザはポイント制

ニュージーランドの永住権申請はポイント制になっています。 40歳未満なら30点、4大卒なら50点、職歴があるなら10点、NZ内で就職してるなら50点…という風に色々な要素でポイントが加算されていって、全部で100点を超えると永住権を申請できます。が、最近は160点超えないと申請しても選ばれないそうです。

 

「え、じゃあ大学卒業してて、NZ内の車屋で働いてるアラサーのナタリーなら…4大卒だから50点、プラス年齢で30点、就職してるから50点、この時点でもう130点あるじゃん!しかも日本でも数年間働いてたからプラス10点で140点じゃん! いけそうじゃん!」

 

て思いますよね! 

 

 

違うんです(>_<)

 

 

学歴ポイントや職歴ポイントを加算するには、それらが「今の仕事に関連している」必要があるんです。

 

例えば、大学でコンピュータ・サイエンスを学んだアラサーの人が、日本で携帯アプリエンジニアとして2年間働いたのち、NZでもアプリエンジニアとして就職できたなら、学歴ポイントも職歴ポイントも現在のお仕事ポイントも全て有効になって140点くらいになります。 オークランド以外で就職すればこれにボーナス30点さらにプラスされるので、160点を超えて、晴れて永住権を取得できます。

でも、もしもこの人が血迷ってNZのカフェで3Dラテアート職人として就職した場合、学歴ポイントも職歴ポイントも無効になり、使えるのは今の仕事ポイントと年齢ポイントだけ。一気に合計ポイントが80点くらいになります。ここから永住権を取るのはロード・オブ・イバラですね。

 

慶応ボーイのAさんは、社会学を専攻していたので、NZで学歴ポイントを使おうと思ったら、社会学に関係する仕事を見つけないといけなかったのです。でも、それってもう研究者くらいしかなさそうですよね…。 彼は日本では営業の仕事をしていましたが、NZでの業務は営業と関係なかったので、そちらの職歴ポイントも使えず…。 だからNZ移民局は彼を評価しなかったんですね。

 

逆にウェブデザイナーのBさんは、日本で5年以上ウェブデザイナーとして働き、NZでもウェブデザイナーとして働いていたので、職歴ポイントが使えてそのまま永住権まですんなり取れました。

 

でも、Aさんのような人って沢山いると思います。日本で文系の人が大学で学んだことと直結するような業務に就くことって、どれくらいあるのでしょう? 大抵の人は、大学で学んだことと全く関係ない業務を就職してからすることになりますよね。 高い金払って勉強したあの4年間は一体なんだったのか…と思いますけど、大企業も大企業で、まっさらな人を1からその会社向けの人材になるように教育するつもりなので、学生が大学で何を専攻していたか等はあまり重要でなくて、大学名や運動部かどうか等をむしろ重視するところが多いんですよね。

 

ジェネラリストは海外就職に不利

日本の大企業の中には、3年ごとに部署を変えて色々な業務に触れさせて、最終的には「一つの業務に特化したスペシャリスト」ではなくて、「何でもこなせるジェネラリスト」を育成しようとするところも多いですよね。 このシステムも海外で就職しようとする人にとっては不利に働きます。 経理・総務・営業を3年ずつしても、例えばNZみたいなポイントシステムだと、現在の業務に直結する部分しか職歴として評価されないからです。 

ということは、一つの会社で10年働いていても、ビザの観点から見ると、その内3年しか職歴として認められない、なんていうホラーもありえますね。 中小や零細企業だとそんな風に遊ばせる余裕がないため、同じことをずっと続ける場合が多いでしょうね。 海外ではそっちの方が評価されるみたいです。そういう意味でもIT系の人や職人系の人の方が強いですね。

欧米の企業は人を雇う時、スペシャリストとして採用して、そのままスペシャリストとして働かせることが一般的らしいです。 本人の希望があるならともかく、そうでないのに部署替えをさせて全く未知のことに触れさせるということはあんまりしません。 経理として10年も経験があるスペシャリストを部署移動させて全然違う業務に回すなんて、確かにもったいないですもんね。

 

私はNZのシステムを元に話しましたが、カナダやオーストラリアもビザはポイント制になっているので、たぶん似たようなシステムだと思いますよ☆

 

まとめ

 

・大企業に就職すると、入社するまで自分がやる業務が分からないことも多い

・日本の就職システムは、大学の専攻と関係ない業務に就く人を多く生み出している

・移民局の基準ではそれは学歴の無駄遣い → つまり学歴ポイントが使えない

・テキトーな学部に行くよりは、手に職を付けた方が海外移住には有利

・日本の就活制度は海外移住には不利に働くかも

 

(1) 名前さえ書けば入れる大学でマネージメントを専攻、卒業後に日本でフリーターとしてチェーン居酒屋のアルバイト店長を3年して、その後NZのジャパニーズレストランでマネージャーをしてる26歳のXさん

(2) 東大法学部を卒業後、電通に入社して2年間営業部、3年目は法務部で働いて、その後NZに来てから現地企業で経理アシスタントをしてる26歳のYさん

 

移民局の制度で見ると、上記の場合、経歴に一貫性があるXさんの評価の方が圧倒的に高くなるわけですね☆

 

いつか外国に移住したいな~と思っている高校生の子達は、大学選びは大学名よりも学部を重視すべきですね☆ 文学部に行くよりも、工学系やコンピュータ系が有利です。 今大学生の人なら、就職も大学で学んだことをそのまま使うような業務に就ければ、海外での就職はぐっと近くなるかもしれませんね☆ NZのシステムだと、英語を勉強しようと思って英文科などに行くと、逆にビザが出にくくなるようです。