HBOの海外ドラマ「チェルノブイリ」の感想。どうしても福島のこと考えちゃう

HBOの海外ドラマ「チェルノブイリ」の感想。どうしても福島のこと考えちゃう

 

ずっと夢中で観ていたGame of Thronesが終わってしまい、少し心にぽっかりと穴が空いてました(笑) 私にとってはブレーキングバッドよりもずっと面白かったゲームオブスローン…なんで日本で人気が出ないのか分かりませんっ☆

これから何を楽しみに生きていけばいいのか…っていうのは大げさかもしれませんが、少し寂しさを感じて日々を送っていました。でも、週末に友達の家で観せてもらったドラマがかなり面白くて、もう少しだけ生きられそうです。

チェルノブイリ

その海外ドラマの名前は「チェルノブイリ」。1986年にチェルノブイリで起きた原発事故を元に作られたほぼノンフィクションのドラマです。HBOという制作会社が作っているのですが、ここ、ゲームオブスローンの制作会社なんです(ToT) 私が以前めちゃくちゃハマった監獄ドラマのOZもHBOでした。この会社は私のハートをがっちりとつかんで離しませんね。

 

あらすじ

1986年チェルノブイリ原発の4号炉で爆発事故が起きる。爆発によってむき出しになった原子炉から放射性物質が大量に外に漏れることに。事故の解決のためにクルチャトフ研究所の核物理学者ヴァレリーに連絡がきて、原発事故の調査委員会のメンバーとして現地に向かう。ヴァレリー以外がほぼ原発の仕組みに疎いため、今がどれだけ危険な状態にあるのかの理解が得られず、物事が思ったように進まない中、色々な人の協力を得ながら二次災害を防ぐためにヴァレリーは奔走する。

 

感想

面白いけど、めっちゃくちゃ恐いです。早く近隣の住民を避難させればいいのに、隠蔽体質のせいで、原発のことをよく知らないKBG幹部が事故直後に原発のすぐ近所の街プリピャチの電話回線を使えなくしたり、プリピャチ住民を街から出られないようにしてしまうんです。情報漏れを防ぐことを優先したせいで、住民はしっかり被ばくしてしまいます。自分の体が傷つけられていることに誰も気づかずに住民は日常生活を送り続けるのですが、買い物したり学校に行って帰ってくる間に広島に落ちた原爆の40倍の放射線を浴びているという恐怖。

「綺麗な炎だね~」と原発から出る青い炎を見物する住民 この後全員死にます

ヴァレリーは物理学者ですが、あくまでアドバイザーとして調査委員会に入っているだけなので、実際に物事を決める力があるのは原子力の素人ばかりです。危機感がまったく伝わらない人達と一緒に働くせいで「ヘリコプターで上からしっかり見ないと分からないだろう?」「あれを上から見たら私もあなたも1週間以内に死にます。」みたいな会話を主人公はします。それがいちいち恐いです。 

 

原発の火事の消火活動をした消防士たちは放射線をモロに浴びたせいで、モスクワの病院に隔離されます。1人の消防士の妻が「夫と一緒にいたいの」と夫が運ばれた病院のナースに頼みますが、そこで言われます。「あれはもうあなたの夫ではない、別のなにかなの。あなたに危害を与えるわ。」それでも一緒にいようとする妻。日が経つごとに皮は剥がれていき、夫は最終的にゾンビのようになって死にました。死体からも放射性物質が出続けるので、鉛の棺に入れられて、コンクリートに埋められます。

看護士「あれはもうあなたの夫ではないの。あなたの体に危害を与える何か別のモノよ。」

すごいスピードで事態が悪化していく中、ヴァレリーともう一人の物理学者は決断をし続けないといけません。「放っておくと5000万人の命に影響がでるが、この作戦をすれば1000人は死ぬ。」「そもそもこれは効果があるのか?なければ100人は無駄死にすることになる。」自分の決定一つで100人単位の人間が死んでいく状況で、ヴァレリーはそれでも決断しないといけないんです(そして色々考えている間に自分も放射線を浴び続けてます。)

 

このドラマ見ながら私はずっと福島のことを考えていました。「チェルノブイリ」でも核について分かってない上層部は「大丈夫です。コントロールできています。」って言い続けるんですね。そういえば日本の政治家もひたすら「コントロールできています。直ちに影響は出ないです。」って言ってたな~って。福島の事故でも同じような背景があったのかな、って考えずにはいられないですね。

核物理学者「いますぐ街の住民にヨウ素タブレットを配りなさい。みんなガンになるわ。」

副知事「事態は収拾したって聞いたぞ」

学者「してないわ。私は核物理学者よ。あなたに何が分かるの。副知事になる前は靴工場で働いてたんでしょ。」

副知事「決定権は俺にあるもーん。ウェーイ♪」

 

5話全部見終わって

最後までとても楽しめました。

この事故はヒューマンエラーと、原発の設計自体の問題とが合わさって起こった事故なのですが、ソ連は原発に問題があることは認めようとしないんです。どこかで聞いたような話ですよね。きっとこういうのは日本も含めた世界中であるんですね。 最後まで見てこのドラマのテーマは「嘘の代償」だったんだな。って分かりました。

細かいところは違うらしいですが、実際の人物を元にしたノンフィクションなので、実際の登場人物のその後がドラマの最後で紹介されます。やはりこの事故の解決に積極的に関わっていた人達は5年以内にガン(とは言ってませんでしたが)で死んでいったみたいです。

 

どこで観れるのか

日本だとどこで観れるんでしょう? 調べたんですけど、どうもHBOの放送権を買ったのがスターチャンネルらしいので、日本ではまず最初にスターチャンネルで放送されるでしょうね。アマゾンプライムにもスターチャンネルのオプションがあるので、アマゾンプライムに申し込んで(月額500円)、そこからさらに「スターチャンネルEX(月額980円)」に加入すれば、おそらく日本では一番早く観れそうですね。 

アマゾンプライムは最初の1ヶ月が無料で、スターチャンネルも最初の2週間は無料なので、タイミングよく加入してすぐに解約すれば無料で観れますね!

 

IMDBに当事者のレビューが

IMDB見たら当時プリピャチに住んでいたという人のレビューがあったので、紹介しますね。

私はプリピャチで生まれました。この事件が起きた時、私は4歳でした。ドラマで観る方が実際の経験よりも恐いですね。だって私達自身は当時、何が起こっているか分からなかったのだから。竜巻や地震みたいに、いきなり大規模の破壊が起こるわけでないんです。その日はいつも通りの平凡な日だったのに、突然すべてを捨ててこの場を去れと言われました。事故直後の犠牲者はそれほど多くはありませんでしたが、数十万人の命にものすごい影響を与えました。この事件が起きなかったら、自分の人生はどうなってただろうかって、よく考えます。

これはドキュメンタリーではないから、細部が全て正確なわけではないです。それでも私はこのドラマは本物だと思います。製作者は重要なポイントをしっかりおさえています。私の両親は二人ともチェルノブイリ原子力発電所で働いていました。子供の頃から色々な話を聞かされたけど、このドラマは災害の様子と被害者の物語をとてもうまく描いています。私達はみんなこのドラマを見て、嘘をつくことの代償を思い出すんです。

 10/10(満点評価) 

curiosityonmarsさん

 

「チェルノブイリ」、日本人なら観た方がいいと思います☆