移民と犯罪

2017.08.14
NZ社会

こんにちはペドロです。

大量の移民を受け入れたことによってＮＺの社会はどのように変化したのでしょうか。ＮＺの外国人参政権に関してネットで色々と見ていたら、こんな文章が出てきました。

外国人参政権を認めた国は例外なく崩壊する：

ニュージーランドが継続在住１年以上の永住権所持者に一部認めましたが、おかげで人口に対する犯罪率が人口1000人に対し105.9件で、世界で2番目という最悪の事態を引き起こしました。

ニュージーランドといえば、キウイ族に代表されるようにとても穏やかでのんびりした優しい民族たちの住む治安のいい国でした。それがそののんびりしたお国柄に付け込んだ恐ろしい外国人たちのエジキと成り果て、10人に一人以上の割合で犯罪が起きているということは異常事態です。

こ、これは大変だ～！　私がＮＺで特に犯罪にも巻き込まれずにぬくぬくと１０年以上暮らしている間にＮＺはこんなに危ない国になってしまっていたのか！

ところでキウイ族って何？　マオリって言いたいのか？　「キウイ族」という単語によって急に胡散臭い文章に見えてきました。

1. ＮＺと外国人犯罪
2. 移民を大量に入れたことによる犯罪率の変化
3. 外国人の方が犯罪に手を染める確率が高い？
4. 結論
- 4.1. こんな人が書いています。
  - 4.1.1. 最新の投稿

ＮＺと外国人犯罪

それではニュージーランドでの外国人犯罪がどんな感じなのか見てみましょう。

ＮＺ国内に住む人の人種の内訳なんですが、もともとＮＺに住んでたのはマオリ族だけです。そこにイギリスから白人がやってきて、最終的に85-90％くらいの白人と10-15％のマオリ族という人種の割合が移民を沢山受け入れ始める前のＮＺの状態でした。移民受け入れのドアが開く前からも、イギリスからはちょくちょく人が入ってきていたようですが、最近そのドアを大きく開放し、特にアジアからの移民が大量に入ってきます。その結果、2013年の国勢調査では全人口の内アジア人の割合が12%となり、15%のマオリ族に追いつきそうな第二のマイノリティーとなっています。　

移民を大量に入れたことによる犯罪率の変化

では移民を大量に入れたことによって犯罪率はどれだけ増えたのか…　犯罪率のデータを基にグラフを作成しました。過去20年の人口1万人あたりの犯罪率の変化です。

あ、あれれ？　下がってないですか？

外国人が押し寄せてくる前の方が犯罪率高いですよね…。

いや！数字自体は減っていても外国人の方がNZ人に比べて犯罪率は絶対高いだろう！そうだ！そうに違いないっ！　外国人の犯罪データを出せ！

外国人の方が犯罪に手を染める確率が高い？

これ！っていうデータは簡単に手に入るところになかったので、おいおい詳しく調べるとして、NZの囚人を人種別に分けたデータはありました。　2017年現在、ＮＺの刑務所には約１万人の人が服役しています。

まず前提として、2013年の国勢調査で分かったＮＺ人口の人種別割合は白人（ヨーロッパ系）が74％、マオリが15%、アジア人12%, パシフィックアイランダーが7%です。　このグラフがＮＺの人口の人種別割合です。

ということは、それぞれの人種が同じような確率で犯罪に手を染めると仮定すると、刑務所内の人種の割合も大体こんな感じになるはずですよね。　そうしたら移民がＮＺ国民と比べて特別犯罪に手を染めているとは言えない…ということになります。　実際のところはどうなんでしょう。大量に入ってきたアジア人（インド人含む）の移民は果たしてＮＺ内で好き勝手に犯罪を犯しているのか…。2017年の囚人の人種別割合のグラフを見てみましょう。

あ、あれれ？　

全人口の15%しかいないマオリ族が刑務所人口の半分以上を占めています！　移民というくくりではパシフィックアイランダーの人が少し奮闘していますが（人口比7%なのに対して刑務所内の人口は11%)、アジア人は少なすぎて「その他」カテゴリーに入れられちゃってます！　元からＮＺにいる人の方が明らかに犯罪に走りやすいようですね。

“…キウイ族に代表されるようにとても穏やかでのんびりした優しい民族たちの住む治安のいい国でした。それがそののんびりしたお国柄に付け込んだ恐ろしい外国人たちのエジキと成り果て…“

まさに「お前は何を言っているんだ？」状態です。

“穏やかでのんびりした優しい民族”は”恐ろしい外国人たち”の10倍の確率で犯罪を犯してますよ…。こうなるとおそらくこの文章は最初から結論ありきのプロパガンダだったとしか思えませんね。