NZの日系企業で永住権をエサに奴隷にされた人の話
永住ビザをエサにして労働者(日本人)を奴隷化する日系企業って、そんなに珍しくもないんですけど、また新しく話を聞いたのと、本人が許可をくれたのでここでシェアします☆
始まりはいつもワーキングホリデー
ワーホリでニュージーランドに来たTさんは、とある日系企業(建築・不動産系)に雇われて、施工管理と社長秘書の業務を半々で1年ほどしていました。 ワークビザを取ってニュージーランド生活延長…というところで、残念ながら若いため、経験も学歴も足りず、ワークビザが降りないという結果になりました。 しかたないのでニュージーランドは諦め、Tさんはその後オーストラリアにワーホリに行きました。
社長はTさんの真面目な働きぶりを気に入っていたので、Tさんがオーストラリアで楽しんでいるころに、「ワークビザをなんとかするから、戻ってきてくれないか?」と連絡をします。
いずれ海外移住したいと思っていたTさん、「そういうことなら」とオーストラリアのワーホリも半ばで切り上げて、ニュージーランドに戻ってきました。
え、ワークビザは?
「ワークビザをなんとかするから」と言われたから戻ってきたTさん。なんと社長から、「やっぱり君の経歴だと、ワークビザは出ないからさ、とりあえず学生ビザ取ってよ。」と言われます。 オーストラリアでの仕事を辞めてまで来たのに…!
「この学校なら、出席は週に1~2回でいいし、2年でマネージメントの学位も取れるから、その学位を使えば永住権の申請もすぐだよ。今から3年以内に永住権まで取れるんだよ。」と社長に説明されて、「うーん、そういうことなら…」とTさんも納得してしまいます。
気がついたら借金と共に始まった海外生活
「でも学費払うお金ないですよ。」とTさんは社長に言います。そこで社長は、「とりあえず俺が学費は払っておくから、俺への借金ってことで、毎月の給料から少しずつ引いていくわ。」 この時点でTさんは、「あれ、この話…なんかやばくない?」と思ったのですが、学歴も職歴もなかったTさんは、これが海外移住の唯一のチャンスかもしれない、と思ってしまうんですね。というか社長にそう言われたそうです。
正確に言うと、Tさんは日本では実はかなりの大企業に勤めていたのですが、仕事の内容が技術系じゃなかったので、NZの移民用職業リストには入っていなかったのと、5年以内に退職したことで、ワークビザの条件(5年間の労働経験)を満たせなかったという背景があります。
学校申し込みの期日が迫る中、他にいい選択肢も思いつかないTさん、じっくり考える余裕もなかったので、結局上司に借金をして学生ビザを取ることに決めました。
学校がある日が休み扱いなので、土曜日も仕事
というわけで、Tさんの仕事と学校をダブルでこなす日々が始まりました。学校は火曜と木曜に半日あるので、その二つの日は半日休みの扱いになります。プラス日曜日はまるまる休みなので、合計で週に2日休んでいるだろう、というのが社長の考えです。 現実にはTさんは平日は学校の課題をする暇がないので、日曜は朝から晩まで学校の課題でまるまる潰れてました。そして月曜から土曜までは朝7時から夜9時まで働かされるという、まったく休まるヒマがない地獄の1週間です。
どうしてこんなに仕事時間が長いのかと言うと、Tさんともう1人の同僚に仕事が集中したからなんです。もう1人の同僚の方も、大学を出たばかりで、卒業者が貰える仕事探し用のオープンワークビザでこの会社に雇われていました。次はワークビザを取って、そして永住権…というルートで行こうと思っていたようです。 この人も奴隷要員でした。
他にも数人その会社で働いていたのですが、その人達は永住権保持者だったので、条件が合わなければ転職するだけなんですね。 やはりビザは強し… だから社長もあまり理不尽な要求はできないため、まだ永住権を持っていないTさん達に理不尽ぶりを発揮します。 ビザで足元を見られているTさん達、社長から言われたことに対してNOとは言いにくい立場にいますからね。こうして他の人達に比べ、Tさん達だけ仕事量が2倍になるという不思議な現象が起こります。
時給600円で週70時間
ちなみにこの時Tさんは月給をいくら貰っていたのかと言うと、法的最低時給×フルタイム(160時間分)という、かなりエグいお給料でした。日系企業だと割とデフォルトなんですけどね。最低時給。 ただTさん達の場合は、週に40時間分しかお金を貰っていないのに、その倍の時間ほど働かされていたため、実際に時給を計算すると1時間あたり8ドルちょっと…日本円にすると600円くらい…という、働けど働けどわが暮らし楽にならず、ぢっと手を見てしまうほどの時給だったそうです。
ストレスが体に出てくる
長時間労働と社長の理不尽ぶりに堪えていたら、とうとう体中に湿疹ができてしまったTさん。激痛のために医者に行ったら、「ストレスだね。」って診断されました。 体中に軟膏を塗って出勤する第二ステージに突入です。
「この生活もあと1年くらいの辛抱だから」とその時は思っていたそうです。でも、冷静に考えると、そういう非人道的なことをしてくる社長が素直に永住権が出るまでサポートしてくれるのかどうか、ちょっと分からないですよね。
この頃Tさんのストレスは常にマックスで、どのくらいかと言うと、例えば道端で「ニュージーランドって時間の流れがゆっくりだよね☆」とかの舐めた発言をしている日本人を見かけたら頭から熱々のフラットホワイトをかけたくなるくらい…と言ってました。だから彼は冬でもアイスコーヒーを頼んでいたそうです。アイスコーヒーなら頭からかけてもヤケドしないしねっ☆
医者が次に言った「次は毛が抜けるかも」の一言がきっかけでTさんは帰国を決意しました。
もう海外移住なんかどうでもいい
最終的に「もういい。ニュージーランドをこれ以上嫌いになる前に出よう」と決めたTさん。社長に「借金を請求してきたら、労基違反で働かされたことを全部ぶちまけるぞ。出るとこ出るからな」とブチ切れて退職しました。 ちなみに、あまり関係ないですが、この頃社長は別の社員(女性)に手を出して、そっちでもちょっと修羅場が起こっていたそうです。
ちなみにこの会社はまだあります☆ さすがに訴えられそうなので名前は出しませんが、日系企業で不動産や建築関係の求人を見かけたらこの話を思い出してくださいね♪
Tさんその後
これは全部1年くらい前に起こったことです。Tさんはその後東京に戻って、外資系のゆるい会社に就職しました。今は高いお給料を貰いながら幸せにやってるそうです。「海外で会社を経営してる」っていうだけのアホな人に雇われたがために悲惨な目に遭いましたが、もともと能力は高い人だったので、ちゃんと評価される環境にいればしっかりお金貰えるんですよね。
NZで永住権を狙っている人がどれくらいいるか分かりませんが、変な日系企業に引っかからないように注意しましょうね!
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